油谷小ブログ

油谷小学校の子どもたちの成長の足跡を紹介します。

「海の命」ノートより⑦

いよいよ、太一と瀬の主の戦いの場面です。子どもたちの太一の心のゆれの捉えが面白いです。それぞれが自分の言葉で自分の捉えを伝える一生懸命さが分かる内容です。こんな6年生の子どもたちには、感心しきりです。

≪本文より≫

この魚をとらなければ、本当の一人前の漁師には、なれないのだと太一は、

Ⓐ思う。

Ⓑ泣きそうになりながら思う。

どっちが合っているか?

 

〇Ⓑもし、太一が魚をしとめてしまったら、太一は父をこえてしまう。父は、だれよりも海への感謝をし続けてきたけれど、太一はまだ、大物をしとめようとしている段階だから。海への感謝は、父にはかなわないと思った。今までずっと海に感謝し続けてきた父をこえたくなかった。まだ、太一は、父のように海に感謝できないから、まだ太一は、父をこえられない。

〇Ⓑです。太一は、海の命を殺したくない。ということが表されていると思います。太一は、泣きそうになるくらい悩んだと思います。クエは、海の命だと思えたから、その海の命を殺してしまうと、この海でずっと生きていけないかもしれません。ずっと生きていければ、もしかしたら、一人前のおとうのような漁師になれるかもしれません。大魚は、おとうじゃないかもしれないのに、太一はおとうと言っていたから、他の魚とは違うものを感じたのかなと思いました。

〇この前の文から、太一は、瀬の主を前にして、今までとってきたたくさんの魚とはちがうものを感じたんじゃないかなと思う。今まで取ってきた魚たちは、取ることが当たり前だったから、「取りたくない」と思ったことは無かったと思うけど、この大魚は、取りたくないと思ったんだと思う。他にも、最後の文から、「太一は、瀬の主を殺さないですんだ」というところから、太一は、瀬の主を殺したくなかったということが分かる。このことを踏まえて考えると、Ⓐにすると、取って「本当の一人前の漁師になりたい」という意味でとらえることができる。なので、Ⓑの方が合っていると思う。また、ずっと尊敬していた父をこえたくないという思いもあったと思う。

※「海への感謝」「海の命」「父のようになりたい」「父をこえたくない」「背の主は殺せない」様々な考えが複雑に絡み合って「泣きながら」という行為が生まれたようです。みんなすごいなと思います。